工藤探偵事務所

Resarch and Investigation

セールスフォース・ドットコムのクラウドフォース・ジャパンに参加してきました。

kudo-shunsaku2009-11-14


ちょっと前に開催されたセミナーになりますが、セールスフォース・ドットコム社が主催するセミナーである「クラウドフォース・ジャパン」に参加してきました。「日本最大のクラウドコンピューティング・イベント」だという謳い文句だそうですので、何とか今回は申し込みが受け付けて戴けてたので参加させて戴きました。実は探偵は今年のタスクの中心ははセールスフォース絡みだと命令されているということもありまして、、、、という訳で仕事目的の情報収集というものでもあったのです。またも、その開催内容や拝聴したセッション内容を箇条書きにしてしたためたものとそれらの乾燥の芋を御裾分けで此処に記します。宜しければどうぞ。



Cloudforce Japan 2009 開催概要

名称: Cloudforce Japan 2009
日時: 2009年9月15日(火)
会場: ザ・プリンス パークタワー東京(東京・港区芝)地図

出展社

プラチナスポンサー:

アクセンチュア株式会社
富士通株式会社
みずほ情報総研株式会社
日本電気株式会社
株式会社リコー

スペシャルスポンサー:

グーグル株式会社


ゴールドスポンサー:

株式会社日立製作所
日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社
パナソニック電工インフォメーションシステムズ株式会社
三三株式会社
株式会社サンブリッジソリューションズ


シルバースポンサー:

株式会社クラスギア
株式会社シーエスアール
デジタルコースト株式会社
株式会社ジラッファ
株式会社アイエイエフコンサルティング
株式会社アイエムエス
株式会社リンク
株式会社マッシュマトリックス
株式会社プレゼンス・ソリューション
日本プログレス株式会社
ソラン株式会社
TDCソフトウェアエンジニアリング株式会社
株式会社ウフル
株式会社ユー・エス・イー

プログラム

基調講演

マーク・ベニオフ

ブレイクアウトセッション概要

詳細なタイムテーブルはこちらをご参照ください。
タイムテーブル

Aセッション - Sales Cloud

Salesforce CRM 営業支援の概要から実際の利用方法の全体像をご理解いただけます。
初めての方でもわかりやすい内容です。

Bセッション - Sevice Cloud

顧客満足度向上をもたらすために、Salesforce CRM サービス&サポートのスピード、コスト削減、柔軟性がカスタマーサービス部門にもたらす効果についてご説明します。

Cセッション - Custom Cloud

クラウド型開発プラットフォームForce.comは既に多数のお客様にご活用をいただいております。
こちらのセッションはForce.comの特性をお客様による事例を中心にご紹介します。

Dセッション - Developers

いかに簡単にいかに早くForce.comで開発できるのか。
皆様のアイデアをアプリケーションですぐに実現できることを実際にお確かめいただけます。

Eセッション - Customer Success

既存のお客様向けのセッションです。
ユーザ様がベストプラクティスを共有し、より多くの機能を活用していただくためのセッションをご用意しております。

F,G,Hセッション - ソリューショントラック

パートナー企業による最新のクラウドコンピューティングソリューションをご紹介します。

Iセッション - ファンデーション(非営利団体向け)

Salesforce CRMを活用して業務の効率化を図っている非営利団体ユーザ事例をご紹介します。



開催状況

同時に並列で開催*1されているので、拝聴できたセッションは極僅かです。

以下に聞けたセッションの情報の一部の記載を試みます。

配布資料

プレゼン資料は、当日はハンズアウト*2はありませんでした。

但し、後日一部のセッションでは、プレゼンテーション資料は公開されるものもある様子です。


OPRO Japan Co.,Ltd.

SalesforceCRMを定着させる米国中小企業ユーザーの事例(OPROARTS Appsの紹介)
日本オプロ株式会社

以下、内容の一部を箇条書きにて記載します。

以前から帳票分野にて製品を提供している。帳票分野では有数の企業。
ノリタケコージローさんがコアエンジニア。彼が製品の設計を行っている。*3
帳票は日本ではカスタムの要求が大きく、また帳票自体が基幹システムのアウトプットとなっており、その位置付けは非常に重要である。

様々な企業でSalesforce CRMを導入したが、肝心の営業さんが使わない。単に顧客情報を入れるだけ。つまり電話帳になってしまっている。

そこで、営業さんが一番楽しい作業である見積もり書を作るようにカスタマイズ。Salesforceを使わなければ、見積もり書が作れないように仕向けた。見積もり書が一番効果があるとの事。

オプロでは自社製品も持っていてセールスフォースから外部の設置した印刷サーバを経由して印刷するソリューションもあるのだが、データセンター代が高いなどのコストメリットなどの理由からセールスフォースで稼動するネイティブアプリの開発に着手。

OPROARTS Apps Easy Merge 発表。見積もり書をワードで三種類用意できる(税率の違い、値引き前、値引き後などの用途で)。カスタムオブジェクトでも出力可能。(PDFバージョンは近日発表予定。現在、米国セールスフォースにて精査中だそうです。)。Visualforce, Apex にてネイティブアプリとして実装されたそうです。

さらには、Visualforceにはデザイナーソフトがない。そこでOPROARTSデザイナーを開発中(米国でもデザイナーソフトは存在していない様子です)。今年の12月発表予定だそうです。

後日

後日、メールにて日本オプロ株式会社からの案内がありました。以下のリンクにて当日発表内容の紹介がなされています。またリンクを辿ると展示内容の一部をフラッシュムービーで視ることが可能になっています。

日本オプロ株式会社

「日本オプロ株式会社は、セールスフォース社が主催する「Cloudforce Japan」に3年連続のプラチナスポンサーとして参加しました。」


データ・オンデマンド ソフトウェア社 Pervasive製品紹介

このセッションの途中で、日本オプロの提携会社となったらしいデータ・オンデマンド ソフトウェア殿の紹介がありました。

データ・オンデマンド ソフトウェアは、ETL分野でERPなどとの連携製品を長年に渡って提供してきた。主要製品は、Pervasive*4となる。
Pervasive の位置付けは、カテゴリ内では大規模システムでのシェアは他社に譲るものの、ミッドレンジでは圧倒的なシェアを誇るとの事。
Pervasiveは、多数(百五十以上)のコネクタを有しており、無論セールスフォースのコネクタも用意。
顧客に於いて、SaaSとの連携を躊躇う理由のほとんどが、基盤システムとの連携が困難であることが原因。それ故に、他数のシステムに対応しており複雑な連携も可能にするPervasiveには、商品価値があるとの事。

また大企業向けには、プライベートクラウド(ベンダーサービス)も展開しているそうで、「Pervasive DataCloud」という製品を米国などで展開済みである。


所感

予期せず、Pervasiveという製品が紹介されてその存在を知ることが出来ました。これがシェアも獲得している上に、多数のコネクタを有しているとの事で、異機種システムとの連携の際に採用できそうなものです。また本題である日本オプロ社も帳票では中々の機能を有した製品を持ち、また今後提供予定の製品であるOPROARTS デザイナーという製品も今までない製品であり、期待が出来そうです。




salesforce.com, inc.

Force.com Pages/Code によるアプリケーション開発 -プログラミングで広がるForce.comの世界
土田 達郎

以下、内容の一部を箇条書きにて記載します。

"Force.com Pages/Code" と題されていますが、"Pages" は、"Visualforce" であり、 "Code" は、"Apex" の新名称だそうです。どうやらこういった名称変更は頻繁で良くころころ変わるそうです。

内容は、実際に簡単なページとロジックを作成するチュートリアルでした。

ちょっとした応用機能

Visualforce → PDF, Excel出力。
Apex → 電子メールサービス*5

良く聴かれる質問としてFAQのトップ10を紹介されました。

バッチ処理は出来ますか? → 実装予定だそうです*6
トランザクション処理は出来ますか? → 出来ます。明示的にコミット(commit)は呼べません*7
制限はありますか? → ガバナ制限として様々なリソースの制限があります。代表的な制限としてデータ量は 20MB x ライセンス数、ファイル容量は 100MB x ライセンス数となっています*8

所感

Visualforce及びApexを説明するには、どうしてもセールスフォースの成り立ちなど、その仕組みを説明する必要が「本当は」あるのですが、そこを全く省いて、それら前提知識が結構要るコーディング部分を割とわかり易く、簡易に実演されていたので参考になりました。観客が本質的に理解出来たかは不明ですが、短い時間でお披露目する手際としては中々のものだと感じました。




TerraSky Co Ltd.

Salesforce CRM導入の成功を左右するシステム連携の最新ソリューションと事例
株式会社テラスカイ

以下、内容の一部を箇条書きにて記載します。

NTTソフトウェア会社紹介

テラスカイの紹介の前に、最初にテラスカイと近年提携を組んでいるらしいNTTソフトウェアから会社紹介及び事業内容について説明がありました。

一つはNTTソフトウェア+サイボウズ+テラスカイで提供するサイボウズ ガルーン2というグループウェアとセールスフォースとの双方向連携製品の発表で、要するに宣伝です。
もう一つが、progofficeという自社製品で営業マンが使用しているIP電話、携帯電話などの着信、発信履歴をセールスフォースに取り込むという製品です。これもテラスカイが提供する "Sky on Demand" などを使用して構築する製品の様子です。

テラスカイ製品紹介

テラスカイからもまずは会社及び自社製品説明と最後にセールスフォースにての事例が発表されました。

テラスカイ殿では、セールスフォースを取り扱っていたノウハウを蓄積しセールスフォースCRM機能の不足部分を補うために、自前で各種サービスを "SkySuite" として提供し、セールスフォース連携してシステム構築を行っているそうです。無論、DataSpiderなども連携ツールとして一翼を担っている様です。

SkyOnDemand - 月、七萬円でデータ連携。CSVによる連携*9。また社内DBなどのファイルサーバにダイレクトアクセス可能*10
SkyOnDemand for 奉行 - 月、伍萬円。
SkyOnDemand for サイボウズ ガルーン2 - 価格不明。
DCSpider - SkyonDemandのベースになっているデータ連携のパッケージ製品。
SkyEditor - 月、七萬円。
SkyFAX - 月、七萬円。
テラスカイ、データ連携についての考察

現状で露呈してきている実際の状況や傾向などを列記して説明。

(1) 連携の複雑化 → データの累計、暗号化、FAX送信など。
(2) データの同期だけが連携ではない → データ容量の肥大化防止、プライバシー情報の保護。
(3) SaaS間連携 → トライコーンのメール送信サービス。シャノンのセミナー管理サービス。他のSaaSの連携も活発になってきている。


5つの先進事例

(1) 在庫の適正化 : (要望)見積りを一元的に管理したい。(原因)納期の関係で営業が先行発注するために倉庫内の余剰在庫が判らない。
(2) 営業KPIの算出 : (要望)営業活動をビジュアル化してモニタリングしたい。(現状)SFAは定着している。(問題)Salesforceガバナ制限。(解決)外部のSkyOnDemandを経由して、Google Chartを利用しグラフを生成。
(3) ケータイ x Salesforce x ファイルサーバ : (要望)ルート営業マン(ラウンダー)が、客先の小売店で実施した作業を簡易にレポートしたい。余計な作業を営業マンにさせたくない。(解決)携帯メールから写メを送信。その画像がそのままレポートにする。セールスフォースのドキュメントフォルダに添付メールの画像を格納するが、画像が大きいため定期的に整理する必要がある。SkyOnDemandを経由して社内のファイルサーバに過去データを吸い上げることにより解決。
(4) プライバシー情報の保護に活用 : (要望)個人情報を社内サーバだけに残したい。(問題)基幹システムはレガシー(AS400)。全てのデータをセールスフォースに載せることはしたくない。(解決)必要な情報だけをセールスフォースに格納、残りの機密情報などは、社内サーバのオラクルに格納。その社内DBの情報にアクセスする際にはセールスフォースからURをリンクして外部ページに跳ばす。その先にオラクルからデータを取り出してHTMLページを生成した場所を指し示す。
(5) 社内にある商品DBにダイレクトに検索 : (要望)社内DBにダイレクトにアクセスしたい。(解決)SkyOnDemand経由でアクセスを行う。また検索画面などは、 SkyEditorを使用すればDBからデータ取得可能である。

所感

セッションの説明では、すべてテラスカイの自社サービスであるSkyOnDemandを駆使することで解決している。裏返せば、セールスフォース自体では対処出来ない要求が多数あり、それを解決するには外部への連携機能が必須であるということになる。これは真だろうと筆者も同意せざる負えません。*11



KEIZU CORPORATION LTD

ケイズコーポレーション

ブース出展です。

所感

蛇足ですが、セッションの合間に展示を眺めてみたのですが、そこでブースを出展していたケイズコーポレーション殿が、Asteriaリーフレットを配布していたので、とある懸案事項を思い出して、勇気を出して、「突撃!お宅の晩御飯」でキューイングの事例があるか否か?を聴いてみました。ですが、やはり事例はない様子です。エンジニアの方が再送機能ならありますなどという説明をして頂きましたが、詳細はインフォテリア殿に聴かないと判らないと仰っていました。多分、アダプタ側だけでは不明で本体側の問題であり事例もない、要するにAsteria側での機能ということになりそうなので、インフォテリア殿ということになるかと思います。*12



全体所感

各セッション毎に所感を記載しましたが、ここにも簡易に総括した所感を記載します。

会場の様子

参加者は五千人位だそうでして、すごい混み様でした。結構広い会場でしたが、どのセッションも盛況の様子です。特にGoogleのセッションなどは一番広い会場を使っていたので参百人程度は軽く入る筈なのですが、立ち見どころか入り口から人が飛び出している始末でした。但し、狭い部屋は百人程度で空席も目立つセッションもありました*13。この参加者のほとんどがユーザというよりも、初見、もしくは、興味を持っている方が半数程度であろうと思われます*14。ですから先行して採用している既存ユーザもいるでしょうが、興味がある潜在ユーザも多数居たことと思われます。そして一番の多数を占めたのは、おそらくSaaSもしくはSalesforceに興味を持っているけど、まだそちら方面には手がついていない同業者であったことは否めないと思います。SIerやベンダさんです*15

但し、その熱気だけであれば、以前のJavaのカンファレンスや近年のAdobeのカンファレンスを想起させる程の人混みでした。但し、参加している方々の人種は違いますけど。。。今回のクラウドジャパンはタイトル通り、日本で開催されるカンファレンスだからなのでしょうが、スーツを着込んだ方など「ちゃんとした」格好をしている方々が主流でした。JavaOneのようにバックパックに本やガジェットなどの多数の荷物を詰め込んでヨレヨレのジーパンで床に寝転んでいる人(プログラマー)は流石にいませんでしたし。またAdobe MAXのカンファレンスみたいに、ちょっと変わったお洒落な人種(デザイナー)の方々とも全く違いますし(笑)。


所感本題

以前から課題であると感じていました連携製品の重要性について再考させられました。

ETL, EAI, BPM, どの範疇でも良いのですが、セールスフォースと連携する製品が重要であろうことは、間違いないところでありましょう。今後にてもお客様からの要望を満たすために重要な位置を占めることだと想像されます。弊社がどれを注力して精査し扱っていくのかも判断が必要なことかとも思われます。

またその先には、セールスフォースもしくは他のサービスが不足している箇所を補うことをサービスとして提供することも必要になってくると思われます。これは、既にテラスカイ殿が実施されているように、蓄積したノウハウを自社のサービスとして提供することでセールスフォースを補完し、問題を解消することで満足度を上げることに貢献している様子です。こういった取り組みは問題解決だけにしても必要になるのは必死でしょう。
そして解決策を提示する際に、セールスフォース、つまり完結したアプリケーション・サービスとして提供しているものを補完する際に、オンプレミスで対応するのを嫌がる方もいらっしゃるのかと憶測されますし、サービスなのですからサービスで補完するのも概ねの要求には合致しているとも考えられます。こういった方策も必要かもしれません。

SaaSと呼称される単一の完結するサービスを複数組み合わせることによって、要求を満たす。理想的にはこのような提供が考えられます。*16


必要に応じて後日、追記します。

*1:-前述しました様に、同時に9セッションが並列で進行しました。-

*2:-CEOの基調講演だけはカラーでのハンズアウトが配られました。-

*3:-実装はスリランカの会社が行っているらしい。-

*4:-Pervasive Software Inc.-

*5:-CalloutでHttprequest, XML Parser-

*6:-現在は不可能です-

*7:-正常終了した場合には自動的にコミットされる-

*8:-但し、1レコード2KBなので、1GBで50万レコードを格納できます。-

*9:-WebDAV。-

*10:-Directオプション。-

*11:-禿同。-

*12:-残されたパスは、AsteriaSalesforceアダプタを実装した松下電工IS殿しかないと思うのですが、これもまた同様に主機能はAsteriaですので、インフォテリア殿でしょう。-

*13:-なるべく空いているセッションを選んで入室しました。あまりに混雑しているので人混みでグッタリしてしまいましたから。-

*14:-とあるセッション内でのアンケートにより。-

*15:-「え、ブラウザで開発するの?」、「やっぱりエクリプス使うんだ。。。」などという会話があったからです。これはセッションに複数で参加されている方同士で話しているのが聞こえたのです。多分、どこかのSIerの若いエンジニアさんでしょう。-

*16:-「SaaSSOA」というような言葉になって片付けられそうですが、SOAというバズワードはあまり使いたくないです、ね。-