工藤探偵事務所

Resarch and Investigation

White Cane, My Heart Cloudy

kudo-shunsaku2006-04-07


今日は曇り。そして肌寒い。


朝、電車を乗り降りする人達で混雑するホーム。
俺も電車を乗り換えるために誰かの後ろを歩き、
人ごみに紛れる。
歩きながらふと顔を上げると、
数歩先を歩いている女性が振り返って何かを見ている。
つられて俺も後ろを振り返る。

白い杖をついている中年の女性がいた。

改札まではまだちょっと距離があり、手前に階段がある。

一瞬迷った後、流れに逆らって戻って彼女に近づいた。
ちょうど階段の手すりに杖をぶつけていた。
躊躇無く、声を掛けた。

「一緒にいきましょう。」

そうすると淡々としたトーンで、

「そうですね。」

彼女は大きな声で答えた。

彼女の左腕の肘の後ろを軽く握った。
少しの階段を上がると改札まで少しの距離だ。

彼女は触っていた肘を嫌そうに、左右に振る。
彼女は、左の腕に鞄を持っていた。
階段を上りきるまで、2、3回、肘を振った。
触れている手を離した。

そして少し距離を置いて、そっと俺は離れた。


心の奥で何かチリチリしてる。。。


何だか自戒の念に囚われる。

お節介だったのかな?
やっぱり通り過ぎればよかった。
もう少し、安心できる様に声を掛ければ良かったのかな?
俺が握るんじゃなくて、握ってもらうべきだった。
それとも荷物でも盗まれるとでも思ったのかな?

少しのこと。

大事なこと。