Developers Summit 2008(デブサミ2008)、これに参加してきました。
参加目的は勿論、ジョエルさん狙いで御座います。
Joelさん(Joel Spolsky、ジョエル・スポルスキ)というのは、元マイクロソフトのエンジニアでソフトウェア開発についての本 "Joel on Software" を書いた著者です。
- 作者: Joel Spolsky,青木靖
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 18人 クリック: 371回
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彼の著書であるこの本を薦められて読んだことがあります。良い本です。
以前、御紹介した記事です、Joel on Software, The book which Needs an Engineer.。
その彼が来日したのは、本屋主催の恒例のカンファレンスが先日ありまして、今回また新しい書籍を出版されるJoelさんが宣伝を兼ねて呼ばれて、お話されたという経緯です。*1
彼のプレゼンは、聴衆を飽きさせない茶目っ気と有意義で楽しい内容のお話であり、著書を読んだ探偵としても彼の拝聴できたのは嬉しかったです。*2
その乾燥の芋を此処に記します。
Microsoft Presents 「Joel on Developers Summit」 :素晴らしいソフトウェアを作るということ
Fog Creek Software創業者 CEO
Joel Spolsky
プロフィール :
多くのソフトウェア開発チームが、非常に優れた製品を作っているにもかかわらず、その他大勢から抜きんでることができず、一般受けする着想を得ることに失敗しています。彼らは、自分たちの素晴らしい製品が市場にほとんど無視され、ユーザの目は他の、粗悪な機能しか持たない高価な見掛け倒しの製品に魅了されてしまっていることに驚かされます。また、ソフトウェアから家電に至るまで多くの製品カテゴリで、市場シェアが一番大きい製品は二番目の製品よりも高価で機能が少ないことがままあります。このセッションでは、どうしてそのようなことが起きるのか、そしてみんなが愛する一級品をデザインするためにはどうしたらよいかを探していきます。
- 作者: Joel Spolsky,青木靖
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Great Software
何故か唐突にビクトリア・ベッカム*3の写真からスタート。
Victoria Beckham, David Beckham
David Beckham --> L.A. Galaxy --> Landon Donovan
ベッカムは移籍してL.A.にあるGlaxyというチームに加入。そこにはランドンというストライカーが居たそうです。
ランドンは優秀な選手でベッカムにも引けを取らないが、知名度では決定的に違う。ベッカムは皆知っているけど、ランドンのことは誰も知らない。
それゆえ、ベッカムは破格の高級を得ているが、ランドンは破ったTシャツの換えを貰える程度だそうです。
Landon Donovan to return to Southern California?
つまりは、一番手と二番手では知名度が大きく異なる。ということ。
比較表(覚えているものだけ、、、)
| Blue Chip | Off Brand |-----------------------------+----------------------- | David Beckham | Landon Donovan | Apple iPod | Microsoft Zune | Apple iPhone | Samsung Blackjack | "Hey Jude" by The Beatles | "Love is Blue" by Paul Mauriat | ... | ...
The Formula 理論
(1) Make People Happy 人を幸せにします
(2) Think About Emotions 感情を考慮します
(3) Obsess Over Aesthetics 美学にこだわる
Learned Helplessness: A Theory for the Age of Personal Control
学習性無力感、パーソナル・コントロールの時代をひらく理論。
Learned Helplessness: A Theory for the Age of Personal Control
Put the User in Control
ユーザにコントロールを渡す。
ユーザが快く感じる。
ショッピングサイトの例:アバクロとアマゾン。
Abercrombie & Fitch v.s. Amazon
アバクロ*4は伝統的なカートの仕組み。商品選択から順番に支払い手順まで段階的に指示される。アマゾンでは、カートに入れた後、一頁に発送から支払い方法まで提示され、好きな箇所を変更出来る。
単なる順番の問題かもしれないが、ユーザにその順番の選択権を渡すだけでもかなりの優越感をユーザは感じるのだそうです。
Roundness
「 丸みを帯びる 」 ということ。
車のSUVが車高が高くて危険だということが露呈して、それを何とか誤魔化そうとしてフランスの心理学者にお願いしたところ、色々な指摘がなされた例を挙げてました。
(1) カップ・ホルダーの設置。--> 飲み物や食べ物がある所は安全という心理。
(2) より車高を高く、社内を広く。--> 高いところから見下ろすのは、優越感を伴い安全という心理。
(3) 丸みを帯びたデザイン。--> 角が尖ったものは危険、丸みを帯びたものは安全という心理。
比較に出したのが、Samsung Blackjack と Apple iPhone 。機能の点でサムスンに及ばない iPhone ですが、丸みを帯びたフォルム。完成された妥協のないデザイン。
ここで最後の止めに出したのが、Windows 2000 と Windows XP のウィンドウの形。少し丸くなりましたね。*5
Modernist Architecture
現代建築では装飾は退廃的であるという考え方から、出来るだけ装飾を排除しようというのが主流の様子です。
(1) The Elimination
(2) Decoration ==> Decade
コンピュータの世界ではまだそこまで到達*6していない様子で、装飾するのが全盛であり、ユーザもそれを望んでいるようです。
Misattribution
プレゼンの最後にコレだけ覚えてくれれば後は忘れてくれて良いという言葉を啓示されました。
"Misattribution" 『誤帰属』
という心理学用語です。
例:
特大サイズのコーラ*7を持って、映画館で映画観る、上映終了後に友人に感想を聴かれた場合、
(1) 途中でオシッコしたくなったけど両隣の席が図体のデカイ奴に挟まれて身動き出来ずに、、上映後半は小水を我慢に我慢。そして終了後の感想は、「つまらなかった」といった感想を吐く。
(2) コーラに含まれている多量のカフェインが影響し興奮してしま、上映中に非常にハイになって鑑賞する。そして終了後の感想は、「楽しかった」といった感想を吐く。
どうやら、人はある結果の原因を誤って理解してしまうことがよく在るということなのだそうです。ごもっともで御座います。
おしまい。
関連記事:
@IT - デベロッパーズ・サミット2008 すばらしいソフトを作るには、カリスマが講演
ITPro - 「Joel on Software」の筆者が語る“人を幸せにする”ソフト開発のポイント
tune web - 「Joel on Developers Summit」:素晴らしいソフトウェアを作るということ
平々毎々 (Hey hey, My my) - Joel On Developers Summit 2008
hamastaの日記 -お休み中。。。- Developers Summit 2008, Joel Spolskyの講演に行ってきた
CodeGear Presents 「David Intersimoneと日本のRubyのコミュニティが、オープンソースの現在と未来について語る会」
知り合いが出席した様子なので記載させて頂きます。
[モデレータ] 株式会社永和システムマネジメント サービスプロバイディング事業部 チーフプログラマ / 日本Rubyの会 理事角谷信太郎
[パネラー] CodeGear デベロッパーリレーションズ担当副社長 兼チーフエヴァンジェリスト David Intersimone
[パネラー] 株式会社ネットワーク応用通信研究所 基盤研究グループ 主任研究員前田修吾
[パネラー] 株式会社ツインスパーク 制作部 / 日本Rubyの会 代表高橋征義
[パネラー] 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 ITエンジニアリング室 先端技術チーム先端技術課 / Akasaka.rb 高井直人
[パネラー] 株式会社イーシー・ワン / Rubyビジネス・コモンズ最首英裕
CodeGear Ruby/Eclipse/Java製品管理担当ディレクター Joe McGlynnは、業務上の都合により2月13日〜14日の来日が不可能になってしまいました。急遽、CodeGear デベロッパーリレーションズ担当副社長 兼 チーフエヴァンジェリストのDavid Intersimone(David I)が来日し、同セッションに出席致します。 David Iは、CodeGearで開発者コミュニティとの接点となる人物で、世界各地で講演活動をしています。各国のコミュニティ活動をよく知る同氏の来日により、日本Rubyコミュニティとの議論はさらに白熱したものになると期待されます。 ※軽食サービスは、先着300名様となります。予めご了承ください。
CodeGear Presents 「David Intersimoneと日本のRubyのコミュニティが、オープンソースの現在と未来について語る会」
*1:-実際は以前書いた書籍の日本語版みたいですけど。改編して出版するのか不明ですけど。原著は、"The Best Software Writing I: Selected and Introduced by Joel" .-
*2:-当初、探偵の時間的にちょっと無理かな?という状況でしたから。でも頑張ってプログラムを早々に書き、目途が付いたので参加できました。良かったです。-
*3:-関係ないけど、つい先日に VB "Victoria Bitter" というオーストラリアのビールを注文する際に "Victoria Beckham" で笑いを取って、ウェトレスさんと仲良くなりました。なのでちょっとビックリ。-
*4:-アバクロって、Abercrombie & Fitchのことです。人気アパレル・メーカーですよ。-
*5:-ここで笑いを取りました。-
*6:-達観?-
*7:-ここではなくジョエル氏は別の文脈で登場させたのだが、スタバでラテをヴェンティ・サイズで買っても良し。ちなみに "Venti" というサイズは、スタバでの特大サイズである。 "Venti" はイタリア語で20の意味で、20オンスの珈琲ということらしい。ジョエル氏によると、「おもらしサイズ」ということらしい。-